賃貸経営業界の攻略法

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オーナー向け

賃貸オーナーが知るべきサブリースの問題点とその他の家賃補償サービスとは?

昨今のテレビCMでは、賃貸マンション・アパート経営には「〇〇年一括借り上げ」等の家賃補償をプッシュするCMをよく見かけます。地主様が相続対策や遊休地の土地有効活用で賃貸アパート・マンションの新築をご検討される過程においては、アパートメーカーや不動産管理会社、銀行からなど、様々な局面で「サブリース、一括借り上げ、空室補償」と総じて家賃補償の話題が出てくるかと思います。

確かに賃貸経営における最大のリスクは「空室」による収入の低下です。そして空室リスクに備えるための「家賃補償」は、賃貸オーナー様にとって大変魅力的な制度です。

しかしながら、2017年にアパート建設大手のレオパレス21でアパートを建設してサブリースを利用しているオーナー様が、借り上げ家賃の値下げに反対して集団訴訟を起こしたというニュースもありました。賃貸業界に限らずですが、必ずしも大手企業だから安心という時代ではありません。

従って、これからの賃貸オーナー様は、サブリース(一括借り上げ)、空室補償と家賃補償に関するすべてを正しく理解した上で賃貸経営を始める必要があります。 本コラムでは、家賃補償のすべてを解説していきますが、まず始めにご理解いただきたいことがあります。それは・・・

賃貸経営には詳しくないけれど、
テレビCMを出すような大企業の家賃補償だから安心だよ。

という安易な判断だけはしてほしくないということです。これからお伝えするのは、インターネットや書籍ではあまり解説されていない現実的な家賃補償のお話しです。

この記事で伝える家賃補償の知識を持って賃貸経営に臨めば、賃貸経営で失敗するリスクを大幅に軽減できるはずです。実際に当機構では、延べ6,000戸以上の賃貸アパマン、戸建賃貸の空室補償契約をいただいており、オーナー様は、家賃補償を上手く活用しながら安定した賃貸経営を続けていらっしゃいます。

家賃収入を老後の確かな自己年金にしたい、賃貸経営や相続対策で失敗したくない、後で後悔したくない、とお考えであれば、ぜひこの記事をお読みください。


1. もう間違えない!賃貸経営に関係する家賃補償の種類

まず賃貸業界で使われる「家賃補償」という言葉は、図のとおり、「入居者用の滞納補償」と「オーナー様用の家賃収入補償」の大きく2つの意味で使われるため、間違えないようにしましょう。

賃貸オーナー様向けの家賃収入補償とは、オーナー様が契約者となり、アパマン一物件全体を対象に総家賃収入の80%~90%を補償するサービスですが、こちらも「サブリース(一括借り上げ)」と「空室補償」の2種類があります。

賃貸経営に関係する家賃補償の種類

1-1. 家賃滞納保証とは?(入居者向け)

1-1. 家賃滞納保証とは?(入居者向け)

実際に客付けをした不動産管理会社が窓口となり、入居者の賃貸借契約時に合わせて契約する家賃保証です。一昔前は、連帯保証人がいない方、安定収入のない方など特定の入居者のみに契約を義務付けていましたが、近年では全入居者に契約を義務付ける不動産会社も増えています。

1-2. サブリース(一括借り上げ)とは?

1-2. サブリース(一括借り上げ)とは?

補償会社が借主としてオーナー様からアパマン一棟丸ごとを借り上げ、合わせて賃貸管理業務も行う賃貸経営の運営代行制度です。オーナー様は何もしなくて良いので賃貸経営がラクになります。

しかしその反面、借上げ家賃以外の収入(礼金・更新料など)がすべて補償会社の取り分になり収益性が落ちること、また、サブリース会社が借主かつ管理会社という強い立場になるため、家賃の値下げや修繕工事の義務など賃貸経営における重要事項の決定権は、サブリース会社のルールに従う必要があるなどの制約があります。

賃貸業界におけるこの家賃補償は、長らく大手アパートメーカーや大手不動産チェーン等が展開する「サブリース(一括借上げ)」しかありませんでした。賃貸オーナー様が「空室リスクを担保するために家賃補償を利用したい」と考えても、世の中には、この「サブリース(一括借上げ)」しか選択肢が無かったわけです。

しかし昨今では、レオパレス21のオーナーが借り上げ家賃の値下げを原因とした集団訴訟を起こすなど、賃貸オーナー様にとってサブリース制度も万全とは言えません。そこで、賃貸オーナー様にとって、「サブリースよりもメリットがあり条件の良い新しい家賃補償」として当機構が開発し、1999年より運用しているのが「空室補償」制度です。

1-3. 空室補償とは?

1-3. 空室補償とは?

一般的な賃貸経営のスタイルは、サブリースを使わず賃貸管理業務(入居者募集、契約管理、出入金の管理、建物管理等)のみを地元の不動産管理会社に委託契約するパターンです。

この場合、管理会社は頑張って入居者募集をしてくれますが、空室の家賃を補償してくれるわけではありません。

空室補償は、この一般的な賃貸経営スタイルに付け加えるかたちで、万が一の空室リスクに備える保険のような意味合いでご利用いただける当機構独自の家賃補償制度です。

補償の仕組みは、例えば90%補償コースの場合、毎月定額の補償料(総家賃の5%)をお支払いいただくことで、空室が発生し家賃収入が90%を下回った際には、90%に足りない分を給付金として補填させていただく、いわば「空室家賃の補填する」家賃補償です。

空室補償の特徴ですが、当機構は補償専門団体であり賃貸管理業務は行わないため、賃料以外の収入(敷金、礼金、更新料など)はオーナー様の収入となり収益性が上がること、また管理会社は自由に選べることなど、賃貸経営上のメリットがあります。


2. 賃貸経営のスタイルと家賃補償の選び方

長期安定した賃貸経営を継続していくためには、「どんなやり方で物件を運営管理するか」が極めて重要です。その判断のポイントは、「賃貸管理業務を自分でやるか否か」と、「家賃補償制度を利用するか否か」の選択です。この選択により賃貸経営は、「自主管理」、「一般管理」、「サブリース利用」、「空室補償利用」と4つのスタイルに分類できます。

賃貸経営のスタイルと家賃補償の選び方

2-1. 専業プロ大家さん向け「自主管理スタイル」

入居者の募集依頼から契約管理、クレーム対応、そして入替時の原状回復工事の手配など、賃貸経営のすべてをオーナー様で行うのが自主管理です。賃貸経営に精通し、加えて試行錯誤しながら実行する時間を確保できる専業のプロ大家さんに見られる経営スタイルです。

入最近では、ちょっとしたリフォーム工事は経費削減のためにDIY精神でオーナー様自身が実施したり、物件独自のホームページを立ち上げて自ら入居募集を行うなど、ハイレベル物件管理を行うオーナー様も増えているようですが、ごく普通の兼業大家さんには難しい賃貸経営スタイルかもしれません。

2-2. オーソドックスな「一般管理スタイル」

物件をサブリース会社に一棟丸ごと借り上げてもらい、合わせて賃貸管理業務も委託する一括借り上げは、大手アパートメーカー等が提案する手法です。空室の有無に関わらず、オーナー様には借上げ家賃として満室家賃の80%~90%程度が補償されます。

いわば、「賃貸経営の丸投げ方式」ですから、オーナー様は何もしなくてよいためラクである反面、月々のランニング費用(家賃の10%~20%)に加えて、家賃以外の収入(敷金・礼金・更新料)もサブリース会社の収入になり収益性が下がること、将来的には家賃の見直し、修繕工事条件も課せられるなど様々な制約もあります。

なお2017年には、レオパレス関連で借上げ家賃の見直しに対する集団訴訟、2018年に入ってからもシェアハウスのサブリースを手掛けるスマートデイズ社における突然の借り上げ賃料の支払い停止等のニュースで問題視されているとおり、サブリースで「ラクして儲ける賃貸経営スタイル」は、過渡期を迎えているのかもしれません。

2-3. 賃貸経営丸投げの「サブリーススタイル」

物件をサブリース会社に一棟丸ごと借り上げてもらい、合わせて賃貸管理業務も委託する一括借り上げは、大手アパートメーカー等が提案する手法です。空室の有無に関わらず、オーナー様には借上げ家賃として満室家賃の80%~90%程度が補償されます。

いわば、「賃貸経営の丸投げ方式」ですから、オーナー様は何もしなくてよいためラクである反面、月々のランニング費用(家賃の10%~20%)に加えて、家賃以外の収入(敷金・礼金・更新料)もサブリース会社の収入になり収益性が下がること、将来的には家賃の見直し、修繕工事条件も課せられるなど様々な制約もあります。

なお2017年には、レオパレス関連で借上げ家賃の見直しに対する集団訴訟、2018年に入ってからもシェアハウスのサブリースを手掛けるスマートデイズ社における突然の借り上げ賃料の支払い停止等のニュースで問題視されているとおり、サブリースで「ラクして儲ける賃貸経営スタイル」は、過渡期を迎えているのかもしれません。

2-4. 収益性を安定させる「空室補償スタイル」

上記2-2の一般管理スタイルで「空室時の家賃補償は無い」と説明しましたが、その「空室時の家賃補償」として、任意で後付けできる家賃補償が当機構の「空室補償制度」です。

例えば、万が一の病気や交通事故等による通院・入院リスクに備えて医療保険に加入するのと同じように、突然の空室発生による家賃収入低下に備えて空室補償に加入する、ということが可能です。

サブリース(一括借り上げ)ではなく、月々固定額の補償料をお支払いただくことで総家賃の80%~90%が補償される保険スタイルの空室補償により収益性が安定すること、敷金・礼金・更新料はオーナー様の収入になるなど、サブリース利用と比べて有利な条件で「家賃補償付き賃貸経営」が可能となります。

※空室補償の詳細は、「空室補償について」も併せてお読みください。

2-5. ライフスタイルに見合った賃貸経営スタイルの選択が重要

ライフスタイルに見合った賃貸経営スタイルの選択が重要

4つの賃貸経営手法をご紹介しましたが、収益性やオーナー様に掛かる手間暇など各々にメリット、デメリットがありますので、必ずしもどれが正解とは限りません。

大事なことは、オーナー様の賃貸経営関する知識・経験や、賃貸経営に費やすことができる時間や手間暇など、現在のライフスタイルに適した方法を選ぶことが肝要です。

判定チャート

  1. 1. 自主管理方式が向いているオーナー様

    • 賃貸経営の経験豊富が豊富で市場も読め、時間も確保できるプロオーナー様
  2. 2. 一般管理方式が向いているオーナー様

    • 兼業大家なので日頃の管理業務は管理会社に任せるが、家賃補償までは利用せずとも、自分で前向きに試行錯誤しながら賃貸経営に取り組む意思のあるオーナー様
  3. 3. サブリース方式が向いているオーナー様

    • 相続対策でアパートを建てたけれど賃貸経営には関心が薄い。儲からななくても赤字にならなければいいオーナー様
    • アパート建築も管理も、有名な大手企業に頼まないと満足できないブランド志向のオーナー様。
  4. 4. 空室補償方式が向いているオーナー様

    • 日頃の管理業務は管理会社に任せているが、退去が出ると空室期間が長く、アパート経営は思っていたよりも儲からないと感じているオーナー様。
    • 家賃収入は老後の重要な自己年金として当てにしているので、まずは家賃収入を安定させたいオーナー様
    • 過去にサブリースを利用していたが、家賃の見直しや修繕費のことで揉めて解約した経緯がある。しかし将来の空室不安はあるので、サブリース以外の家賃補償があるなら検討してみたいオーナー様。

3. サブリース(一括借り上げ)とは? 

~サブリース特徴とメリット・デメリットを正しく理解する~

昨今は、「サブリース(一括借り上げ)方式」による賃貸経営が増えています。特に大手アパートメーカーが相続対策などを目的に地主様に対して賃貸経営、土地活用の提案をする場合は、アパートの建設と合わせて、完成後の「サブリース」による家賃補償をセットで提案することが一般的です。

3-1. サブリースの仕組み

サブリース会社(不動産管理会社など)が、オーナー様の賃貸アパート・マンションを満室家賃の80%~90%程度で一棟丸ごと借り上げ、サブリース会社が入居者に転貸して家賃を回収していく方式です。賃貸管理業務もサブリース会社が併せて行います。

サブリースの仕組み

3-2. サブリース利用のメリット

3-2. サブリース利用のメリット

まず、実際の入居率に関わらず「毎月一定の借上げ家賃収入」が見込めるため、収入が安定します。加えて賃貸管理業務も委託しているため、オーナー様は何もせず毎月通帳だけ眺めていればいいという状態になり「賃貸経営がラクになる」ことが最大のメリットです。

従って、高齢で賃貸経営が困難なオーナー様や、日中の仕事が忙しく賃貸経営に積極的に関わる時間のないオーナー様には適していると言えるでしょう。

しかしながら、メリットがあればデメリットもあります。家賃の見直し条項や将来的な修繕工事の取り決めなど、以下「サブリースのデメリット」にある内容をご確認いただき、事前にサブリース契約の詳細条件を契約書・約款ベースで漏らすことなく確認する必要があるでしょう。

3-3. サブリース利用のデメリット

3-3. サブリース利用のデメリット

1. 収益性の低下

一般的なサブリースの場合、上図のように、「家賃以外の収入(敷金、礼金、更新料)」と「借り上げ家賃以上の家賃」は補償会社の取り分になるため収入・収益性が落ちます。昨今では礼金と更新料は低めに設定するケースも多いですが、それでも築浅のうちは各1ヶ月分は取れますので大事な収入源です。

「借り上げ家賃以上の家賃」は、募集家賃に対して90%の借り上げであればよいですが、80%、85%の借り上げ家賃の場合は、サブリース会社の取り分が増えますので、事前にしっかりと条件確認することが大切です。

また一般的なサブリース契約では、借り上げ家賃以外の点においても契約を長期継続するための様々な付帯条件があります。中でも要チェック項目は次の2つです。

2. 将来的な修繕・リフォーム工事が必須条件となる場合も

建物は経年で必ず劣化しますので、将来どこかのタイミングで修繕・リフォーム工事が必要となります。例えば新築から10年もすると金属製の扉や手すりにサビが目立ち始めます。そうするとサビ落としと再塗装のリフォーム工事が必要となります。

そして当然のことながら、リフォームを検討する際には、なるべくリフォーム費は割安で、確かな工事をしてくれるリフォーム会社を選定したいところです。

しかし、サブリース会社によっては、「指定のリフォーム業者」を利用することや、「〇年後にはこの修繕工事を実施することが必須条件」とリフォーム会社や工事内容をオーナー様が自由に選べないサブリース契約も多いようです。

オーナー様のお知り合いに工務店やリフォーム会社がいて、割安でリフォームを頼めるような状況でも、その自由が無くなりますので要注意です。

3. 賃貸管理会社も選べない

長期安定経営の必須条件は、客付力の強い不動産管理会社に賃貸管理を任せ、空室が発生しても早期に次の入居者を決めてもらうことです。従って賃貸管理会社の選定は極めて重要です。

新築から30年スパンとなる長い賃貸経営です。今は地元で最も客付け営業力が強い不動産会社Aに賃貸管理を任せて順調であっても、10年後、20年後は別の不動産会社が一番の営業力を持っているかもしれません。つまり入居者を決めてくれなくなったら管理会社の変更も視野に入れないといけません。

将来的に地元の賃貸マーケットが変化した場合、「いつでも管理会社を変更できること」これもサブリース会社を選ぶ際の重要なポイントといえるでしょう。

3-4. 主なサブリース会社

「私のアパートをサブリースしてほしい場合、どこに頼めば良いの?」当機構には多くいただくご相談です。サブリースを手掛ける補償会社は、大きく以下の3種類に分類できます。

1. 大手アパートメーカー

テレビCM等でおなじみのアパートメーカーですが、「新築物件が対象」です。新築工事から建てた後の賃貸管理とサブリースまで、すべて一括で依頼するパターンとなります。

2. 大手不動産チェーン

エイブル、ミニミニ、アパマンなど大手の賃貸系不動産チェーン店や、住友、三井、東急など大手総合不動産会社もサブリースを手がけている企業は多いです。不動産会社系は、新築・既存問わず対象としています。

3. 地域の不動産会社

地元エリア限定でサブリースを行う各地域の不動産会社もたくさんあります。上の大手賃貸系不動産チェーンも同様ですが、入居者を見つけてくれるのは物件地元の不動産会社ですから、まずは地元の不動産会社に問い合わせるのがよいでしょう。

3-5. サブリースのトラブル事例

【事例1】NHKクローズアップ現代「アパート建築が止まらない」より(2015年5月11日放送)


田畑や空き地の多い地方都市の郊外エリアなどで、いわゆる「アパート銀座」を目にしたことのある方も多いと思います。

【事例1】NHKクローズアップ現代「アパート建築が止まらない」より

主にアパートメーカーによる、そのエリアが持つ入居需要度・賃貸市場性を無視した土地活用アパート提案による供給過剰、そして入居が埋まらないことによるサブリース賃料の見直しの問題をNHKが取り上げました。

サブリース会社の営業担当コメント「建てた時点で利益確定」、「業者が絶対儲かる仕組み」。大手アパートメーカーでアパート建築をご検討の地主様には、今一度、慎重な検討をいただきたいと思います。

まだNHKのホームページに番組概要が残っておりますので、ぜひご覧ください。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3648/1.html

【事例2】レオパレス21の家主100人超が集団訴訟(2016年11月7日 全国賃貸経営新聞)


これは、レオパレス21の家具付きアパートにおける家具のリース料金に関する訴訟です。

【事例2】レオパレス21の家主100人超が集団訴訟

オーナーは同社に1戸あたり2000円の家具リース料を負担、同社は家具を新築から7年又は14年で新品に交換するとい契約条件であるにも関わらず、交換がされず、レンタル料がサブリース賃料から差し引かれていたというもの。

ここで驚くのは、「新品に交換はしていないが、メンテナンスはしているので返金には応じられない。」という同社のコメントです。オーナー様に対する誠意のかけらも見当たらず、もう開いた口が塞がりません。

【事例3】家賃減収、大家が提訴へ。レオパレス21「10年不変」(2017年2月22日 朝日新聞デジタル)


これは、サブリースをご利用・ご検討のオーナー様が一番気になる「サブリース賃料の見直し」に関する訴訟です。

【事例3】家賃減収、大家が提訴へ。レオパレス21「10年不変」

本件では、「新築から10年間は固定」で見直しは無しというサブリース契約だったものが、6年後に約15%も賃料を減額されたオーナーを筆頭に100名以上のオーナーが一斉訴訟を検討するというショッキングなニュースでした。

この事件からも、「大手企業だから安心」という安易な判断は危険だということが分かります。

【事例4】スマートデイズ社 サブリース賃料支払い停止問題(2018年)


スマートデイズ社は、不動産投資家向けに新築シェアハウスの企画販売と完成後の運営代行・サブリースを手掛ける新興ディベロッパーです。トイレ、浴室など水回りが共用であるシェアハウスは、一般的な賃貸アパート、マンションと比べ各住戸面積を大幅に狭くでき小さな建物でも部屋数をかせげることから、東京のように空地が少なく土地価格が高いエリアにおける新たな土地活用手法として、10年程前から供給が始まりました。

現在はシェアハウス専門のお部屋探しポータルサイトもあり、都市部においては一定の入居者ニーズも見込めますが、スマートデイズ社の物件運営が行き詰まった原因は、アパマンオーナーも知っておくべき教訓が含まれていますので確認してみましょう。

【事例4】スマートデイズ社 サブリース賃料支払い停止問題

原因1:建物に共用のリビングスペースが無いため、ポータルサイトの物件掲載条件から外れてしまい入居者募集に苦戦していること

恐らく投資家への販売の際に利回りを良く見せたいが為に部屋数を増やし、リビングスペースを無くしてしまったことが設計企画上の大きな失敗です。

一般的なアパマンにおいても、今や賃貸ポータルサイトでの入居募集は最も反響が得られる必要不可欠な募集方法です。そこに載らない物件企画がマズいのは言うまでもありません。これは投資家にも購入に際して企画プランのチェックにおいて落ち度があったと言わざるを得ません。基本的なことですが企画プランは重要です。

その結果、平均入居率は40%とも言われていますが計画どおりに賃料回収ができず、不足分を物件販売による収益から補填せざるを得ないという販売に頼る状態となっていたものと思われます。

原因2:市場の変化と自転車操業のツケ

ここ数年、相続対策や海外投資マネーの流入、そしてサラリーマン投資家によるアパマン投資が過熱しバブル気味になったことを危惧した金融庁が、2017年の中頃に各金融機関へ融資引き締めの通達を出したという経緯がありました。同社もこのあおりを受け、それまで順調であった物件の販売ペースが大幅に鈍り、自転車操業が立ち行かなくなったことが大きな要因のひとつです。

また、融資の大半は駿河銀行が3.5~4%という高金利で引き受け、融資審査における提出書類内容の改竄も見つかったということですから、その強引な販売手法も問題です。

【事例5】大東建託・現場からの叫び(Diamond Online特集中)


週刊ダイヤモンドweb版に掲載中の記事ですが、大東建託の現役社員、元社員からの告発記事です。同社にアパート建築とサブリースの依頼をご検討の地主様は、必読です。

→http://diamond.jp/category/s-daitoukentaku

2017.9.5  大東建託現役社員が指摘する「粗っぽい契約」の中身
2017.8.21 大東建託現役社員が悩む、オーナー泣かせの建物管理問題
2017.8.4  大東建託現役社員が指摘「ひたすら飛び込む」営業戦略の弱点
2017.8.3  大東建託現役社員が語る、高額な歩合給の落とし穴

3-6. サブリースのトラブルに巻き込まれないために

「サブリースを利用しない。」が本音です。しかし、そうも言っていられませんのでチェックポイントを解説すると、まず最も大切なことは「契約書・約款のすべて読み込む」ことです。

サブリースのトラブル、中でも借り上げ家賃の見直しに関するトラブルの原因は、オーナー様の誤解によるものが多いからです。契約を取るまでの営業マンは調子よく「安心して30年お任せください!」と提案してきますので、それを鵜呑みにして「30年間も新築時の家賃が固定で補償される」と勘違いしてしまうオーナー様がとても多いのです。

2年毎に借上げ賃料の見直しがあることは、契約書面のどこかに必ず記載があります。それを見過ごして、営業マンの口ぶりだけを信じても通用しません。

まず、提案資料として当初に提示されるカラフルで見やすいパンフレットや事業提案書、家賃査定書を確認するのは当然ですが、サブリースの「契約書」や「契約約款」という小さな文字で書かれたものまで、契約に関する書類は、読みづらいですが一語一句すべてをチェックすることが絶対条件です。そしてその中で、必ず確認すべき重要項目は次のとおりです。

  1. 1. サブリース賃料(借り上げ家賃)の見直し時期

    サブリース会社により、当初10年固定、2年毎に見直し、いつでも見直し可能など、見直し条件が決まっています。加えて、値下げ額の範囲まで定めているサブリース会社もありますので、同じエリア内で過去の見直し額(値下げ額)の実績なども含め、必ず確認しましょう。

  2. 2. 敷金・礼金・更新料の分配

    これら家賃以外の収入項目がオーナー様とサブリース会社、どちらの取り分となるのかを確認。一般的には丸ごとサブリース会社の取り分ですが、空室補償ではオーナー様の収入となります。

  3. 3. 原状回復工事の費用負担と将来的な修繕工事の定め

    大手アパートメーカーでは長期修繕計画が定められており、定められた時期に、定められた修繕工事を、指定の関連工事会社に委託しないとサブリース契約は打ち切り、という趣旨の会社もあります。

    本来、修繕工事の時期は建物の劣化具合に応じて変わりますし、工事費も地元のリフォーム会社複数に相見積もりをとり、じっくり比較検討したいところです。そんな当たり前の行為が許されるか否か、しっかり条文を確認しましょう。

  4. 4. 管理会社の変更

    家賃を下げてもなかなか空室が埋まらないからサブリース賃料の値下げに至るわけですが、サブリース会社の入居者募集能力が弱い場合は、管理会社を変更したいところです。一般的なサブリースの契約では管理会社の変更は不可、なケースが多いとは思いますが、ここも確認しましょう。

    そして、不明な点があれば必ず質問し、回答を得ておきましょう。回答内容に不安があれば、その内容を当機構のような外部の専門家に相談するのも手です。


4. 空室補償とは?

古今東西、「賃貸経営において一定の家賃収入を補償するサービス」というのは、サブリースしか選択肢がありませんでした。そんな中、サブリースを検討するオーナー様のご要望を踏まえて、2000年からスタートしたのが(一社)全賃機構の「空室補償」です。

4-1. 空室補償の仕組み

【参考例】総戸数10戸、一棟満室家賃100万円の賃貸マンション

家賃収入が補償額未満となった場合に「給付金」で補填

家賃収入が補償額未満となった場合に「給付金」で補填

図は新築アパマン用の空室補償「あんしん家主30」における「90%補償コース」の例です。空室により実際の家賃収入が補償額90%を下回った場合、その不足額(棒グラフの黄色部分)が給付金として翌月に支払われます。まさに空室家賃の補償ですので「空室補償」と呼ばれています。

これにより、オーナー様は、空室があっても無くても常に総家賃の90%を確保できますので収入が安定することが最大の特徴です。

4-2. 空室補償のメリット

4-2. 空室補償のメリット

そもそも、「サブリースよりもオーナー様にメリットのある家賃補償とする」ことを目的に開発された制度ですので、以下のメリットがあります。

1. 敷金・礼金・更新料もオーナー様の収入

サブリースとは違い、家賃以外の収入項目もオーナー様の収入になります。この点は、比較的築浅で礼金・更新料がとれる期間は、収益性に大きく影響しますので見過ごせません。
※後半でシミュレーション比較もしているので併せてご参照ください。

2. 補償額以上の家賃もオーナー様の収入

サブリースでは決められた借り上げ家賃(満室家賃の80%~90%)以上の収入が入ることはありません。しかし空室補償の場合、満室なら100%がオーナー様の収入になります。

3. 修繕リフォーム工事の制約がない

サブリースでよく問題となる「〇年後に必ず指定業者に修繕工事を依頼しないとサブリースは打ち切り」というような厳しい縛りはありません。

4. 補償だけでなく入居促進方法もアドバイス

管理会社と連携しながら、適切な募集方法や募集条件、そして修繕リフォーム工事に関することなど、長期安定経営に必要なことは何でもアドバイス、サポートいたします。

5. 無料の10年点検サービス

修繕リフォーム工事の義務こそありませんが、建物に問題があるまま放置するのは問題です。よって新築から10年毎に当機構の一級建築士が現地訪問して建物点検を行い、汚れや破損など不具合をチェックし、その写真や内容を報告書にまとめて提出しております。

その指摘項目の中でも、入居促進に悪影響を与える大きな不具合については、修繕リフォーム工事の実施を提案しております。

6. 管理会社の変更もできる

地元の交友関係を優先して、とりあえず知り合いの業者に賃貸管理を任せるオーナー様が一定数いらっしゃいます。しかし、いざ任せてみると客付け営業力の弱さが原因で空室が埋まらないケースが、特に地方都市の小さな商圏の物件で見受けられます。

当機構では、状況に応じて管理会社の変更も応じますし、そうならない為に新築物件では、当初からそのエリアで一番強い管理会社をご紹介するアドバイスも行っております。

4-3. 空室補償のデメリット

4-3. 空室補償のデメリット

上記のとおり、月々の補償料は掛け捨てでご負担いただく仕組みです。よって入居が順調で空室が少なく、受領する給付金が少ない場合は、補償料の負担がもったいないと感じるケースがあるかもしれません。

しかしながら、それは賃貸経営が順調に推移している証拠ですので本来は喜ばしいことです。また、築浅のうちは高い入居率が維持できたとしても、築年数が経過するほど空室リスクは増えますので、先々を見据えてご判断いただくことが必要です。

4-4. 主な空室補償会社と3つの空室補償

空室補償は、一般社団法人全国賃貸経営補償機構(以下、全賃機構)が開発した独自の家賃補償制度であり、他社で類似の商品はありません。なお、全賃機構の空室補償は、対象物権の種類により3つの商品があります。

3つの空室補償商品

3つの空室補償商品
(※1)商品毎に他の補償コースもあります。(※2)補償料は補償戸数により異なります。

各商品の詳細は「空室補償商品ページ」をご参照ください。

4-5. 空室補償のお申込み方法と諸費用

1. 無料の家賃査定

オーナー様の物件を「いくらで補償できるか」「何年間補償できるか」を無料で評価査定いたします。まずは無料の「お試し家賃査定」をお申込みください。約1週間で査定させていただき、査定結果を「空室補償評価書」として送付いたします。

2. 補償内容のご説明

空室補償評価書の内容をお読みいただき、ご不明な点がございましたらいつでもお気軽にお問合せください。また、直接のご面談で詳しい説明をお聞きになりたい場合は、その旨をお申し込みください。

3. 空室補償の契約手続きと運用方法

お申込みに際しましては、当機構スタッフオーナー様のご自宅に訪問し、重要事項説明と補償申し込み手続きを行います。

4. 諸費用

空室補償契約に必要な費用は、入会金1万円と審査登録料(金額は補償商品により異なる)です。

5. 補償開始

契約手続きと諸費用の入金確認後、免責期間を経て補償開始です。補償開始月には補償証券を発送いたしますので大切に保管ください。なお、毎月の補償料は、ご指定の口座から自動引き落としによりお支払いただきます。

6. 給付金のお支払い

実際の家賃収入が補償額を下回った月は、給付金のお支払い対象月となります。管理会社様からの入居状況報告に基づき、空室発生月の翌月末に給付金をご登録の口座にお振込みいたします。

また空室戸数が多い場合や長期に渡り空室期間が継続している場合は、合わせて空室を埋めるための入居促進対策方法について指導をさせていただきます。


5. 徹底比較!主要サブリース会社と空室補償の補償条件比較

主要サブリース会社「補償条件比較表」

主要サブリース会社「補償条件比較表」
※表中の内容は既に変更されている場合もあることをご留意いただき、ひとつの目安としてご確認ください。

5-1. サブリース会社の構図

一番上段の補償会社名は、主にアパートメーカーです。そしてその関連グループ会社が建築後のサブリースを引き受けるという構図となっています。

5-2. 家賃の見直しについて

借り上げ家賃(サブリース家賃)の見直しですが、基本は2年毎に見直しで新築時の10年間は固定とする会社もあります。ただしLP社につきましては、上述の「サブリースのトラブル事例」でご紹介したとおり、新築から10年固定の契約が反故にされ、訴訟問題に発展した事例もございますので注意が必要です。

5-3. 免責期間中の家賃について

サブリース契約における新築当初の数カ月間を「免責期間」といい、オーナー様に家賃が一切入らない期間となります。本来、工事完成の数カ月前から早めの入居募集が実行されていれば、新築ですから竣工時には満室に近しい入居状況となっているケースが多いです。その新築時の一番よい時期の家賃収入がサブリース会社の取り分となってしまう契約です。

これは、オーナー様の借入金返済の開始日が、一般的に竣工から3ヶ月後まで延長可能な金融機関が多いことを利用したと思われます。

なお、空室補償では、当初の免責期間家賃もオーナー様の収入です。

5-4. 礼金・更新料の取扱いと収支シミュレーション

礼金と更新料もオーナー様の大事な収入ですが、サブリース契約では、これも丸ごとサブリース会社の取り分となります。昨今では敷金、礼金、更新料を抑えめに設定する傾向こそありますが、それでも新築から当面の期間は、礼金1ヶ月、更新料1ヶ月は取れますので見過ごせません。

それに対して空室補償では、礼金と更新料も丸ごとオーナー様の収入ですので、これだけでも数百万円単位の収入が変わってきます。具体的にいくら違うのかシミュレーションしてみました。

物件例

[物件概要] 2LDKタイプ、総戸数10戸の新築賃貸マンション、2017年4月入居開始
[募集条件] 家賃10万円/戸(共益費含む)、敷金1ヶ月、礼金1ヶ月、更新料1ヶ月
[補償条件] サブリース85%補償、空室補償90%補償、免責期間は共に3カ月間とする

基本家賃収入の比較

基本家賃収入の比較

この例では、補償率が違うので満室時収入は空室補償の方が高いですが、もし補償率が同じ場合、満室時の家賃収入も同額の90万円となります。では次に、新築時から10年目まで時系列で比較してみます。

免責期間の収入比較

比較条件

  • 入居開始初月(4月)から毎月4戸ずつ入居が決まり、3ヶ月間で満室になったものとする。
  • 2年毎の入れ替え率が20%(2年毎に2戸が入居入れ替え)、当初10年間は満室とする。
免責期間の収入比較

最初の3カ月間だけで、既に309万円も収入に開きが出ます。もし仮に竣工前から満室申込の場合、3カ月間の最大収入額は385万円となり、家賃の約4ヶ月分に相当します。

当初10年間の収入比較

当初10年間の収入比較

新築当初10年間で、なんと1,394万円の収入差が生じる結果となりました。ただし、これは満室想定ですので、仮に入居率90%でも1254万円の差額。これは丸ごと1年分以上の家賃収入に相当する凄い金額です。

このうち、礼金・更新料だけ計算すると、2年毎に1戸あたり10万円が計6回入りますので合計600万円分にも上ります。1棟総家賃100万円の物件で600万円ですから、総家賃50万円の物件でも、300万円程度の収支差額になるということです。

新築物件でサブリースを利用すると非常に損をするということは、ぜひ念頭においてください。

5-5. 修繕工事の義務について

日頃の入居者入れ替え時の原状回復工事はサブリース会社の負担ですが、おおむね新築の10年後からはオーナー様の費用負担となる修繕工事の義務が始まります。よく言われる問題点は次のとおりです。

5-5. 修繕工事の義務について

1. 工事はサブリース会社の指定業者に依頼することが条件

複数業者から工事費の相見積もりをとって比較することができません。たとえ割高な工事費であっても指定業者に依頼しなければならず、極めて不自然です。

2. 修繕工事内容も決められない

サブリース契約ではサブリース会社が借主であるため、借地借家法上においても保護される有利な立場です。従って、まだ修繕が必要ではない工事も「ここを修繕してくれないと、もう借りないよ!」と言われてしまえば、工事せざるを得ない状況となります。

3. 修繕費の積立て制度を利用する場合

新築時からサブリース賃料の一部を将来に必要となる修繕費として積み立てておく制度を採用している会社もあります。その場合は、積立金を使って「いつ」、「どんな工事」をするのか、その制度内容を事前にきちんと確認しておきましょう。

この修繕積立金制度に関する問題点は、上記3-5-5 2017.8.21「大東建託現役社員が悩む、オーナー泣かせの建物管理問題」も併せてお読みください。

いかがだったでしょうか。サブリース(一括借り上げ)と空室補償の違いについて、 ご理解いただけたでしょうか。

もし、ご質問や空室補償の査定依頼などございましたら、お気軽にお問合せ下さい。
長編記事をお読みいただきありがとうございました。

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