その28 賃貸住宅オーナーとしての仕事 その3.入居者の目線
賃貸住宅の入居者というのはどういった人たちでしょうか。大学生や若い会社員、小さい子供がいるファミリー世帯等々。若い方が中心というイメージがあると思います。無論、最近は購入するより賃貸派という方も多いですから、その限りではありません。ただ、一番の繁忙期である2~3月に不動産会社へ来店されるのは、春から大学や専門学校に通われる方や、4月から会社に入社される方が多数を占めると思います。つまり、お部屋探しをする時点では、まだ高校生や大学生といった学生さんが多いわけです。
そんな彼らは、幼いころからインターネットやSMSを使いこなし、スマートフォンで写真を日常的に撮影しています。「かわいいもの」「センスの良いもの」に簡単にアクセス出来る彼らに、内見した物件はどう映っているのでしょうか。茶色の床に白い壁、ありきたりなシーリング照明に経年劣化して黄色くなった古いエアコンなど、おおよそ写真を撮りたくなるようにはなっていないお部屋がほとんどでしょう。もちろん、部屋探しが初めてという人が多いでしょうから「こんなもんかな」と決める人が大半を占めると思いますし、そもそも、こういった物件がほとんどなので選択肢があまりありません。しかし、その中に「かわいい」「センスがいい」といった物件があったらたちどころに決まるとは思いませんか。
もちろん、そういった物件にすることは簡単ではありません。ただ、建物すべてをフルリノベーションしなければならない分けでは無いと思います。お部屋の中の1つや2つでも、そういったことがあれば、他の物件への差別化に貢献されるはずです。
その27 賃貸住宅オーナーとしての仕事 その2.原状回復工事
以前、ある空室補償物件を訪問させて頂いた時の事です。その物件は、募集条件が適正にもかかわらず、なかなか決まらないため、その原因を追究すべく内見に伺いました。その補償物件についてのオーナーさんとの話です。
「物件を拝見しましたが、共有部分は清掃もしっかりされているようですし、外壁などに劣化も見られません。しかし、室内の原状回復工事がされていませんでした。壁紙や床のフローリング、水回り全体も汚れたままでした。退去から1年以上経っているのに、なぜそのままなのですか?」
「入居者が決まったらやるつもりだった」
「・・・・・」
賃貸住宅の物件とオーナーさんによくあるパターンです。入居者が決まったら契約金が入ってくるから、そのお金で原状回復工事をされるつもりらしいのです。
筆者から言わせると「何を言ってるんだろう」です。
賃貸住宅の部屋は人に貸すための商品です。借りる人は一旦契約したら、お金がまたかかるので簡単には引っ越し出来ません。それなのに、どうして汚いままの部屋が決まると思っているのか理解できません。
昔のような住宅難の時代ならともかく、現在は物件が余っています。賃貸住宅の空き家数は総務省統計局によると既に900万戸を超えており、空室率は13.8%と調査ごとに増加しています。
また、別のパターンでは、春の繁忙期にもかかわらず、退去した賃借人と敷金の返金額で揉めているので、工事の着手が出来ないというオーナーさんもよくいらっしゃいます。退去した人の敷金精算と原状回復工事は全く別の物です。せっかくの繁忙期なのにもたもたしていたらシーズンが終わってしまいます。
今一度、お部屋を探す人の目線に立って、所有されている賃貸住宅をご確認されてみてはいかがでしょうか。
その26 賃貸住宅オーナーとしての仕事 その1.オーナーとしての考え方
アパートや賃貸マンションの経営は不労所得などと言われることがよくあります。しかし、ほとんどの場合、そういったことはありません。「経営」と名の付く以上、当然ながら経営戦略が必要となります。
「自分のアパートは一括借り上げ契約をしているので、自分がすることは通帳をみるだけ」
という方もいらっしゃるでしょう。
経営自体を他人に任せているので、当然そうなります。
しかし、これが会社の経営だったらどうでしょうか。他人に任せっきりで自分は何もしないなどということがあるでしょうか。
一括借り上げ契約だったとしても、契約期限があるはずです。期限が来たら、必ず更新してくれるとは限りません。「この物件は更新できません」「更新後の借り上げ家賃は現状の〇〇%ダウンです」など、オーナー様にとっては予想だにしていない未来があるかもしれません。だからこそ、現在の経営状況がどうであるかを把握する必要があります。
一括借り上げ契約を結んでいるのであれば、定期的に報告書が届けられるはずです。
・入出金管理や収支情報
・建物の状態やメンテナンスの状況
・入居者の状況や受けている苦情など
一括借り上げ契約でなくても、賃貸管理契約を結んでいるのであれば、上記のようなことが報告されてくるはずです。
疑問に思ったことがあれば、業者へ質問してみましょう。回答に不満があった、そもそも報告書がこないといった場合は、業者を変えることも検討すべきでしょう。
他人に任せっきりにするのではなく、あくまでも不動産所有者の方、オーナー様ご本人が主体的にご自分の賃貸住宅について考えていくことが重要です。
その25 間違いだらけの賃貸管理 ~ 有名な不動産会社の方が良いのか?new!
賃貸の会社で有名なのは、コーポレートカラーで現わされます。具体的な会社名は控えますが、コーポレートカラーが緑、青、赤、黄緑、などの業者です。テレビCMなども放送していますからご存知の方も多いと思います。そして、こういった会社は直営店舗はもちろんのこと、フランチャイズ形式と併せて全国展開をしています。いわゆる「看板」を貸しているため、フランチャイズ店の社員であっても、本部の監視下に置かれ接客技術などを学んでいるようです。そういったこともあり、有名企業の看板を掲げた仲介・管理の会社はある程度のレベルにあると言っていいでしょう。管理変更の判断をする際に一つの判断材料になります。
だからと言って、有名企業の看板があれば、必ず良い会社なのかというと勿論そうではありません。3でも書きましたが、一生懸命企業努力している会社はごく一部に過ぎないのです。看板のある会社はある程度その可能性が高いですが、全てではありません。
以前、当機構の補償物件の一つに、どうしても空室率が半分程度にしかならない中部地方のマンションがありましたが、管理会社は全国チェーンの会社でした。しかし、何を質問しても的を得た答えが返ってこず、たまりかねてオーナー様に管理変更を提案しました。大分迷われていましたが、オーナー様も管理会社に不満があったため、結局管理変更を受け入れてくださいました。そうしたところ、9戸のうち5戸空室となっていた物件が3ヶ月で満室となりました。
このケースでは、変更先の会社を当機構がリストアップし、そのうち3社の話をオーナー様が聞かれて、その内の1社に決定されました。決め手は、やはり担当者の話が非常に分かりやすかった、からだそうです。抽象的な話や「がんばります!」だけでは人は納得しません。やはり具体的に「なぜ決まらないのか」「どうすれば決まるのか」を聞かされる方が説得力があります。その物件は駐車場が2台必要な地域にも関わらず1台分しか用意されていないため家賃の値下げの話もありましたが、それだけではなく礼金・敷金・契約当初の家賃無料期間など様々な提案の結果、管理獲得を勝ち取ったわけです。
その会社は県内では複数店舗を展開していますが、全国チェーンの会社ではありません。しかし、地道な努力の結果、有名企業と互角に渡り合える会社となったのです。
その24 間違いだらけの賃貸管理 ~ 管理会社を変える ②
しかし、いざ変更しようとすると「手続きなどが面倒ではないか」と躊躇される方がいます。でも面倒があるのは変える先の管理会社の担当者であって、オーナー様ご自身ではありません。
管理会社変更の手順としては、
①
現在の管理会社との管理契約書の内容を把握し、解約する場合の連絡のタイミングを調べる。
②
管理会社の選定、決定、管理委託契約
③
新しい管理会社から言われた書類の用意(印鑑証明書など)、必要書類に署名捺印
④
新たな管理契約がスタート
管理会社を変えるのは一大事と思われるでしょうが、オーナー様の代替わりが進んでいる現在では、日常茶飯事に行われていることで、管理会社の担当者も手馴れているはずです。
因みに当機構が管理会社変更をお手伝いしたケースでは、ほぼ全てが以前よりも入居率が向上しています。
その23 間違いだらけの賃貸管理 ~ 管理会社を変える ①
当機構へ時々、「管理会社を変えようと思っているんだけど」という空室補償のご契約者様からのお問い合わせがあります。理由をお聞きすると「空室が続いているのに要領を得た答えが無い」「家賃を下げてください以外の提案が無い」「募集中の室内を見てみると原状回復工事の程度がいい加減」等など、不満がたくさん出てきます。ある方は、A3用紙にびっしりと書き連ねてFAXで送ってこられました。そういった場合は、こうお答えしています。「でしたら、管理会社を変えましょう」
オーナー様ご自身がそう思われるならば、それが一番だし、こういった場合にオーナー様が何か勘違いをしているケースはほとんどありません。大抵の場合、管理会社はその地域に一つではないので、管理会社の変更をお手伝いすることになります。
管理会社を変える場合は、「駅前にある」「街の中心部にある」等、場所で区切ってから、その会社のホームページを見てみましょう。如何にもお金が掛けられていない、物件情報がほとんど掲載されていないサイトで無い限りは、直接連絡を取り、店舗へ足を運んでみましょう。そしてご自身の物件チラシを持って以下のことを聞いてみるのです。管理会社を変更しようか迷っていると伝えれば、親身に相談に乗ってくれることでしょう。
①
この物件が決まらない理由は何か
②
この物件を決めようと思ったら、貴社ならどうするか
③
お宅の会社に管理を任せたら、どういう管理をしてくれるのか
④
管理料の料金体系
⑤
現在の管理物件数、空室率
先方が回答した中身はもちろんのこと、明確に論理的に答えられたかどうかが、重要です。オーナー様ご自身がビジネスマンであったなら、その経験はそのまま活かせます。満足いったか、否かで判断されればよいのです。
その22 間違いだらけの賃貸管理 ~ 「老舗」がいいとは限らない ③
「老舗」不動産業者は、多くの大家さんの信頼を勝ち得てきました。昔は住宅が少なく、賃貸住宅を建てれば、よほどのことがない限り、入居者の募集には困らなかったからです。しかし、現在では人口も多くの地方の世帯数も減少に転じています。その反面、賃貸住宅は現在でも増え続けているため空室率が18.8%(出典:総務省統計局 住宅・土地統計調査)にも上ります。
募集の仕方も物件に看板を付け、FAXで他の業者に物件情報を送っていれば良かった時代と違い、現在では不動産検索サイトへの掲載はもちろんのこと、反響メールの返信の仕方やSNSへの掲載方法など、多岐にわたり考えることがあるのです。このような時代に昔ながらのやり方では、通用するわけがありません。
もちろん、老舗の業者にも時代に即したやり方で管理物件の入居率向上を意識し、如何に集客するかを命題においている会社もあります。ただそういった会社は、おそらく既に1店舗だけで営業しているわけではなく、複数の店舗を展開している場合が多いです。中には県外にも店舗を広げて「国土交通大臣免許」を取得している会社もあります。従って「老舗」の場合は、どれだけ店舗展開しているかが一つの目安になるわけです。そして、そうでない場合は、不動産検索サイトへの物件掲載が多くの写真が使われているか、コメント欄は反響となりそうな文面となっているかがポイントとなります。
その21 間違いだらけの賃貸管理 ~ 「老舗」がいいとは限らない ②
賃貸のお客さんが不動産業者を選択する理由は、
①
インターネットの不動産検索サイトに多くの物件写真を掲載しているか
②
物件数を沢山載せているか
③
地元で知名度のある会社である
④
店舗がアクセスしやすい場所にあるか
⑤
物件情報にその物件の欠点も書かれている
⑥
物件写真の見栄えが良い
⑦
全国展開している会社である
(出典:sumoジャーナル 「賃貸、購入で契約した人が不動産会社を選ぶときに重視したポイントは?」)
上記のアンケートで分かることは、
不動産会社のこと < 物件のこと
となります。3番目に「知名度」が入っていますから、軽視されているわけではありませんが、やはりインターネット上の物件情報が重視されていることが分かります。そして残念ながら、「老舗」に限ってインターネットへの物件掲載にあまり力を入れていないのが現実です。今時、全くインターネットを活用していない業者はほとんどありません。ただ、検索サイトを見ると物件情報の画像が「間取りのみ」掲載しているとか、物件写真があっても薄暗い室内写真が1枚のみなど、おおよそ反響をもらおうと思っていないような場合がかなりあります。綺麗な写真が多数掲載されている情報掲載元は、先ほどの免許更新回数が(10)未満である場合が多いのです。
その20 間違いだらけの賃貸管理 ~ 「老舗」がいいとは限らない ①
不動産業者の看板や名刺、或いはチラシなどで○○県知事免許(10)××××号」「国土交通大臣免許(5)××××号」のような文字を見かけたことはないでしょうか。これは宅建業免許番号と言って宅地建物取引業を行う免許を受けた時に知事や大臣から振られる番号のことです。基本的に宅建業免許は事務所のある都道府県知事から免許が交付されますが、複数の都道府県に事務所がある場合は国土交通大臣からの交付となります。いずれも、5年に一度(1996年以前は3年に一度)更新となりカッコ内の数字が更新回数を表します。つまり(3)であれば10年以上営業していることになります。
ならば、この数字が大きければ良いのか?と思われるでしょうが、そうとは限りません。ほかの業種ならばいわゆる「老舗」の方が長年の実績や信頼があるから、今まで続けられてきたということになるのでしょうが、こと不動産仲介業に限っては単純に「老舗」の方が良いことになりません。むしろ「老舗」で無い方が却ってよいという場合もあります。
「大家さん」を獲得してきた数は、「老舗」の方が多いでしょう。長年営業していれば、付き合いも増え管理物件も増えていくことが多いです。しかし、賃貸物件にお客さんを付けるという意味では、長年の実績などあまり関係ありません。賃貸のお客さんはリビーターもいますが、ほとんどは一見さんなのです。
その19 間違いだらけの賃貸管理 ~ 不動産業者の本音
自社の管理物件は入居率が高いほうが管理手数料は多くなり、空室を埋めたほうが仲介手数料で儲かるので、不動産業者は入居者が退去したら一生懸命埋めようと努力し、決まらなければ決まる方法を模索するのが本来の姿です。しかし残念なことにこのように企業努力している業者は一部に過ぎません。これは私見になりますが、恐らく上記のように懸命に入居率向上を図っている業者は全体の2割に満たないと思っています。
なぜなら、
①
1戸当たりの管理料はごく僅かなので、少しくらい入らなくても差し支えない。
②
決めるのが難しい物件より、案内すれば簡単に決まる物件を紹介したほうが楽に儲かるため。
③
募集条件の金額が高ければ、家主に条件の交渉をし、新たな募集条件で営業すべきだが、①②の理由により交渉したがらないどころか、交渉をしたら家主に嫌われると思って余計なことはしない。
つまり、「物件の紹介はするが、決まらなければ募集条件を決めた家主のせいだから、自分たちが悪いわけではない」と考える業者が大勢を占めるのです。さらに、ある程度の管理手数料が入ってくれば、会社の経営は成り立つので、面倒なことはしたくない、と考える業者が一定数いることも確かです。
その18 間違いだらけの賃貸管理 ~ 賃貸管理とは
当機構の担当者が業務上オーナー様(補償契約者)に、連絡することが時々ありますが、物件のことについて尋ねると「全て不動産屋に任せているから」と賃貸住宅オーナーならば知っていて当然のことでも全く分かっておらず、全て人任せの方がたびたびいらっしゃいます。しかし、その不動産業者さんは全てを任されているわけではありません。あくまでも賃貸物件の仲介や管理を任されているだけです。「全て不動産屋に任せている」と言われた方は、勝手にそう思い込んでいるだけなのです。
賃貸管理の主な仕事は、
です。
勘のいい方は、「賃貸の斡旋や契約が無いじゃないか」と思われるでしょうが、国土交通省が作成した「管理委託契約書」のひな型ではその項目はありません。なぜなら、「賃貸の斡旋や契約」は仲介業務の仕事であって、賃貸管理の仕事ではないからです。
不動産業者の主な業務は、賃貸関係に限れば、
です。「仲介」と「管理」は別のものです。
因みに、「仲介」は宅地建物取引業の免許を受けた業者しか出来ません。
「管理」については、以前は特に免許がなくても営業が可能でしたが、令和3年6月に賃貸住宅管理業適正化法の施行により管理戸数200戸以上の賃貸住宅管理業者は国土交通大臣への登録義務付けが必要となりました。
ただ、一般的に賃貸管理契約をする際に、契約書条文には賃借人の斡旋や賃貸借契約の仲介名でも明記されていると思います。それでも、「必ず満室にします」「空室が出たらすぐに埋めます」等の文言は当然ながら入っていないはずです。賃貸管理は家賃収入を保証するものではありませんので、当然です。
しかしここが重要な部分なのです。
その17 間違いだらけの賃貸管理 ~ 今の賃貸管理会社を選んだ理由
アパート・賃貸マンションのオーナー様にお聞きします。
ご所有の賃貸物件の管理会社はどのように選びましたか?
以上のどれかではありませんか?
しかし、賃貸住宅経営の観点から言えば、全て間違いです。
「物件を建てたところが一番物件のことを理解しているので正しいはず」
「物件から近い方が賃貸客を捕まえやすいはずだ」
等、ご意見はあると思います。そしてこのこと自体は間違いではありません。間違いなのは、受動的に管理会社を決定したことです。
賃貸住宅経営はオーナー様ご自身が積極的に行わなければなりません。なぜなら、これは自分の資産を守ることであり、それは自分以外に出来る人がいないからです。他人の資産を真剣に考えてくれる人などいません。不動産会社は自分の仕事の利益になるから関わりたいと思うのです。
いわゆる投資家の方であれば当然のことでも、アパートメーカー等に営業されて賃貸経営を始めた方には、全て受動的に物事を決定している方が多い様です。
当機構は賃貸住宅オーナー様のために家賃保証の運営していますが、そこで培った知識と経験から、正しい賃貸管理会社の選び方を紹介していきます。少しでも、賃貸住宅経営の助けになれば幸いです。
なお、賃貸経営に関してのご相談は賃貸住宅管理の団体などにご相談されるのが良いでしょう。
その16 サブリースのトラブルを回避する方法
長期間に渡りトラブルなくサブリースを上手に活用するためには、サブリース条件の「事前確認」と賃貸経営を「他人任せにしない姿勢」が重要です。
当機構には、サブリースにまつわる様々なご相談が寄せられますが、よく聞くのは「現在頼んでいるサブリース会社から、大幅な借上げ家賃の値下げを提示された」、「突然、今年度でサブリースは打ち切りと言われた」という状況で、保証が無いと困るので当機構で家賃保証できないか、というご相談です。恐らく、大幅な借上げ家賃の値下げを打診されるような物件は、長期間に渡り結構な空室状態が続いているものと思われます。また、そうなる一歩手前の段階で入居促進の提案(家賃を下げる、リフォームをする等)が来ていたにも関わらず、明確な返答をせず、うやむやにしてしまった経緯はないでしょうか?
サブリース会社・管理会社からすれば、入居促進に協力してくれないなら、もう借上げ家賃を下げる、最悪は打ち切るしかないと判断したのでしょう。
本来は、そこまで状況を悪くする前に、入居状況を毎月確認する、問題点はないか担当者に問いかけるなど、賃貸経営に対して日頃からの積極的な姿勢を心掛けたいものですね。
その15 サブリースの保証会社比較
アパート・賃貸マンション経営を行うオーナー様に対して、サブリースを行う会社は、おおむね3パターンに分けられます。
<アパートメーカー系>
テレビCMなどでおなじみの大手アパートメーカーなどは、土地活用提案からアパートの設計・施工を軸に、関連子会社でサブリースと賃貸管理を行うワンストップ型の仕組みです。
<賃貸管理会社系>
こちらもテレビCMでよく見かける全国ネットの賃貸系不動産管理会社では、大抵どこでも賃貸管理と合わせてサブリースも行っています。また大手以外でも地域密着型で多店舗展開している賃貸管理・不動産会社は、地方ごとにたくさんあります。
<家賃保証専業系>
賃貸管理は行わずに保証だけを専門に取り扱う形態です。大手企業は、上記の通り建築又は管理とセットで「サブリース」を提供するケースが多いですが、全国各地の「地域密着型」の建設会社・賃貸管理会社は、自社で保証やサブリースは行わず、当機構のような保証専門団体の取扱い代理店として、家賃保証・サブリースを地元の賃貸オーナー様にご紹介するケースが一般的です。
いずれの場合もサブリースの保証内容は、80%~90%保証、2年毎の家賃の見直し(一部に当初10年固定)、家賃以外の収入(礼金・更新料等)は保証会社の取り分というのが一般的な条件ですが、保証会社により詳細は異なります。サブリースをご検討される際は、数社で比較するなど事前に保証条件を確認しておくことが大切です。
その14 アパート・賃貸マンションのサブリースってどんな制度なの?
最近のアパート・賃貸マンション経営では、「サブリース方式」が増えています。特に大手アパートメーカーが地主様に賃貸経営・土地活用の提案をする場合は、アパートの建設と合わせて、完成後の「サブリース」による家賃保証をセットで提案することが、半ば常識となっているようです。
サブリースとは、不動産管理会社やサブリース会社がオーナー様の賃貸アパート・マンションを一棟丸ごと一括で借り上げて、管理会社が入居者様に転貸する方式です。オーナー様からすると、入居があろうが無かろうが毎月一定の借上げ家賃が入るため、収入が安定して安心というわけです。サブリースを利用すれば、従来は賃貸管理会社に任せていた入居者募集や賃貸借契約、家賃の集金、トラブルへの対応といった賃貸管理業務と家賃保証をセットで委託することになるため、賃貸経営の手間を大幅に軽減することができます。高齢のオーナー様や日々忙しく賃貸経営に積極的にコミットできないオーナー様に適した家賃保証の制度であると言えるでしょう。
このように、オーナー様は何もせずとも賃貸経営できるため、ラクであることが最大のメリットである反面、借上げ家賃以外の収入(礼金・更新料など)が保証会社の取り分になることが多く、収益性が落ちるだけでなく、賃貸住宅に関する経営権のほとんどを保証会社に丸投げすることになるため、事前にしっかりと条件確認することが大切です。
その13 積極的な賃貸経営オーナーに空室保証がマッチする理由
空室保証は、賃貸マンションを一棟丸ごと借り上げるサブリース制度とは違い、あくまで「空室部分」の家賃を補填する制度です。よって、長い賃貸経営において直面する課題や問題点に対して、前向き・積極的に関わっていこうとする姿勢があるオーナー様と相性が良いように思います。当機構の空室保証を上手く活用されているオーナー様の例を紹介しますと、まずオーナー自ら物件を定期的に見に行きます。そして敷地内のゴミ拾いをする、駐車場や駐輪場、掲示板などが綺麗に使われているかチェックする、入居者に会ったらきちんと挨拶するなどです。中には、退去が決まった入居者に手紙を出して、退去の理由や改善要望をヒアリングされている方もいらっしゃいます。そうやってご自身の賃貸経営に積極的に関わった上で、空室が発生したときには空室保証もあれば、さらに安心というわけです。
しかし、専業大家さんならともかく、他に仕事を持った兼業大家さんや、賃貸経営が初めてのオーナー様の場合は、分からないこともたくさんあるかと思います。当機構では、数多くの賃貸物件を空室保証しておりますが、ただ空室保証するだけでなく、空室要因の分析や具体的な入居促進のアドバイスなど、オーナー様に長期安定した賃貸経営を続けていただけるようなサポートを心がけております。
その12 空室保証でカバーできる空室リスクとは?
賃貸経営における最大のリスクが「空室」です。最新の総務省調査「住宅・土地統計調査報告」によると、全国の賃貸住宅の空室率は18.9%です。(入居率は81.1%)
これは新築マンションから築年数の古いアパートまで全国の賃貸物件を全て含めた平均値ですから一概に高い低いとは言えませんが、総じて全国平均で約2割の空室があるということです。賃貸オーナー様のひとつの経営目安として、少なくともこの平均空室率よりは、常に良い入居状況でありたいものですね。
空室保証は、この「空室」を保証するサービスです。賃貸オーナー様は、毎月固定の保証料(掛金)を保証会社に支払うことで、賃貸物件一棟全体の家賃が一定の割合(80%~90%程度)で保証されます。(1戸単位でなく一棟全体で計算し、戸建の場合は同一敷地内全て)
例として、90%保証をご利用のオーナー様の物件が、ある月に入居率50%になってしまった場合、保証率と実質の家賃収入との差額である40%相当額が、空室住戸の家賃に相当する給付金として保証会社から支払われます。これにより、入居率が下がって空室が増えた場合でも、既存入居者からの家賃収入と保証会社からの給付金を合わせると、常に80%~90%相当の収入を確保でき、空室リスクを総合的にカバーできることが最大の特徴です。
その11 賃貸物件の空室保証を利用するメリット
以前のコラムでもご紹介したとおり、アパートや賃貸マンションなどの賃貸経営において、空室保証を利用すると、主に6つのメリットがあります。
①
毎月の収支安定化(90%保証の場合、最大90%~最低80%)
②
収益性アップ(礼金、更新料など家賃以外の収入項目もオーナー様の収入)
③
賃貸管理会社を複数社から選択できる
④
修繕・リフォーム工事の厳しい制約がない
⑤
保証料(月額掛金)は経費として節税できる場合がある(※税理士のご相談ください)
⑥
万が一の場合のリスクヘッジとして、海外の再保険会社に再保険を掛けている
上の②~⑤の項目は、一般的なサブリースでは実現できない内容です。特に②は「礼金と更新料」がサブリース会社ではなくオーナー様の収入になると、築浅時期の収入額は段違いに上がります。当機構の試算では、月の総家賃額100万円の賃貸マンションで礼金と更新料を各1ヶ月と仮定すると、当初10年間で600万円近いプラス収入となるケースも想定され、これはとても大きなメリットです。
また、⑤の節税対策も重要です。サブリースを利用した場合のオーナー収入は、借上げ家賃ですが、固定の大きな支出はありません。すなわち賃貸経営上の経費が無いということです。同じ保証率であっても、毎月の保証料を経費化できる点は、節税対策の一環となります。
その10 空室保証とは、どんなサービスなの?
空室保証とは、毎月固定の保証料(掛金)をお支払いただくことで、賃貸住宅(賃貸マンション、アパート、戸建賃貸)の賃貸経営において、空室が発生したことにより家賃収入が減ってしまった場合に、予め決められた補償額に足りない分を補填することで賃貸経営の安定を図ることができるサービスです。
90%保証の場合、賃貸マンション等の1棟全体の月間家賃収入額を確認し、その収入額が評価家賃(予め査定した1棟満室時の家賃収入額)の90%よりも低くなった月に、「家賃収入と90%相当額の差額」が給付金としてオーナー様に支払われるサービスです。これにより、90%を下回るような空室が発生しても、実際に入居者から入る家賃と保証会社からの給付金を合わせると、満室時の90%相当の収入が確保できます。
この空室保証サービスを利用する最大のメリットは、毎月の収支が最大(満室時)で90%、最低(家賃収入が90%未満)でも80%で固定されることです(賃貸管理料は5%と仮定)。突発的な空室の増加や確実なローンーン返済などにそなえ備え、賃貸経営を長期安定させたい賃貸オーナー様に最適なサービスです。
その9 賃貸経営における賃貸管理会社の選び方
多くの賃貸住宅オーナー様は、賃貸住宅の管理を不動産会社へ委託されていると思いますが、ひとえに不動産会社と言っても街中には、たくさんの会社があります。
これから管理を任せようと考えている方、管理会社を変更しようかと思われている方に選び方・基準などをご紹介します。
①
多店舗で運営している
複数の店舗があることは、仲介や管理の一つの実績です。
②
不動産仲介チェーンのフランチャイズに加盟している
フランチャイズに加盟するには厳しい基準をクリアしなければならないので、選択材料になります。
③
ホームページ
その会社のホームページを見て、物件情報などが頻繁に更新されている方が、広告宣伝に力を入れていることになります。
④
共同仲介を行っている
物件の成約にあたって、その会社だけでなく他の不動産会社にも物件の紹介をし契約に至ることを共同仲介といいます。
広く情報を公開している方が、成約への可能性を広めていることになります。担当者に聞いてみましょう。
⑤
空室保証を取り扱っている
オーナー様の経営リスクを減らすことが出来ます。
⑥
宅地建物取引業者名簿の閲覧
都道府県庁の宅地建物取引業の担当課や国土交通省土地・建設産業局不動産業課(宅地建物取引業の免許交付元による)で過去の実績や行政処分歴}
が閲覧できます。 まずは、複数の不動産業者にどんな管理を行っているのか、相談してみましょう。
その8 賃貸の市場調査が失敗しない賃貸経営の第1歩!
自分の土地にはどんな賃貸住宅が求められるのかを知る!
最近では銀行預金金利が低いこともあり、自己年金確保を目的とした賃貸経営をお考えの地主様が増えています。
しかし、いざ始めようにもどんな土地活用をすればよいのやら...
アパートメーカーの営業マンに相談すれば、
「この立地で最高の利回りがとれる、最適なプランをご提案します!」
「当社がサブリースするので、手間いらずで安定した家賃収入をお約束します!」
など甘いお誘いを受けることも多いでしょう。しかし、家賃保証やサブリース頼りの賃貸経営事業は宜しくありません。
結局、賃貸経営の大原則であり一番大事なことは、「賃貸住宅を探している人が住みたいと思わせる物件を建てること」です。
では、そういったニーズをどうやって調べるのか?
方法はとても簡単で、地主様自ら計画地周辺の不動産業者にヒアリングを行うことです。賃貸管理物件を欲しいと思っている業者であれば、親切に教えてくれるはずです。以下の質問例を参考に、ぜひご自身の耳で入居者ニーズを確かめることから始めましょう。
(代表的な質問例)
1、想定される入居者層は誰か? 計画地周辺でお部屋探しをする人は、どんな人なのか? どんな属性か?
■単身or家族 ■社会人 ■学生 ■地元の方 or 転勤族 ■高齢者 ■特定の企業に勤務の方(家賃補助の有無など)
2、計画地には、どんな賃貸物件が最適か?
■集合住宅(アパートやマンション)or 戸建賃貸住宅 ■間取りタイプ(1K、1LDK、2LDK,etc…)
3、計画地周辺の賃貸市場動向
■人気の設備 ■空室が多い物件の特徴 ■供給が多い、少ない間取りタイプなど
ちなみに、このような質問スラスラ答えることができない不動産会社は、建設後の賃貸管理を任せてはいけない会社です。
なお、ご不安であれば、当機構でも市場調査のお手伝いをいたします。お気軽にご相談下さい。
その7 家賃保証に頼らない賃貸経営とは?
空室が続く原因の一つに「募集条件の設定ミス」があります。賃貸住宅として物件の魅力がないにも関わらず、家賃設定を相場よりも高くしているなどの理由から、空室が埋まらないというわけです。
よって、長期安定経営を続けるには、将来的にも賃貸のお客様の要望に応えることができる特徴を持った物件企画をすることが重要なのです。警備会社と契約した防犯面に強い物件、ペットのために至れり尽くせり色々な設備を設置した物件、壁を全て取り払ったスタジオタイプ、テレワークに対応した間取り、感染症対策を備えた物件、など万人には受けなくとも「1件しか見てないけど、この物件がいい」「他の物件はもう見なくても構わない」と内見してくれたお客様に言わしめる、そんな賃貸住宅を建てることが出来れば、「行列のできる賃貸住宅」も夢ではありません。
次に、どんなに特徴のある優良物件を建てても、管理会社が積極的に募集してくれなければ決まるものも決まりません。最近は管理費を節約して自主管理とし、募集だけを近所の不動産会社に委託するオーナーも多いようです。しかし、毎月の管理料収入にならない物件を、果たして不動産会社は一生懸命お客様に紹介してくれるでしょうか? 恐らく本音ではNoであり、自社で管理している物件から、優先的に客付することは明白ですよね。
また、自主管理ですと建物の不具合は誰がチェックするのでしょうか? オーナー様に建築の知識がなければ、不具合があっても放置されることになり、建物の老朽化や空室に繋がります。
それだけ、管理会社の選定は重要だということです。
当機構では、物件企画の段階からアドバイスさせていただき、順調な賃貸経営を続けていらっしゃる案件が数多くございます。
計画地に対して、「そもそも、どんな賃貸需要があるのか?」、「適切な建て方、間取りタイプは?」、「差別化する特徴は何にするか?」など、当機構の前身団体であるTCL共済創業以来の保証引受実績を基に、建設会社や管理会社とは違う、保証会社として第三者の視点から、オーナー様に物件企画のアドバイスを無料で差し上げております。
「賃貸アパートの提案を受けているけど、このまま進めていいのか、なんか不安だ」というオーナー様は、ぜひお問合せ下さい。
その6 サブリースと空室保証の収益性比較
サブリースは、賃貸管理と家賃保証の一体型なので、サブリース会社が入居者から家賃を集金し、その中から借上げ賃料をオーナー様に支払います。(家賃総額―借上げ家賃―管理費の残りが保証会社の利益:仮に借上げ保証率85%、管理コスト5%なら保証会社の利益は10%です。)
当機構の空室保証では、まずオーナー様に家賃収入が入り、そこから管理会社への管理費と当機構への補償料(月額掛金)を別個にお支払いいただく、という仕組みです。
最大の違いは、「家賃以外の収入項目」がサブリースだと保証会社の収入に、当機構の空室保証だとオーナー様の収入になることです。
「家賃以外の収入項目」とは、主に管理費(共益費)、敷金、礼金、更新料、免責期間中の家賃ですが、この内、管理費は、管理会社への管理料として毎月支出し、敷金はあくまでも預り金ですので、ここで注目すべきは3つ(礼金、更新料、免責期間中の家賃)です。
実は、新築当初10年程度だけでみても、この3項目の収入だけでオーナー様の収益額が100万円単位で大きく変わる場合があります。
当機構の試算では、10万円/戸、10戸のマンション、敷金2ヶ月・礼金・更新料1ヶ月の設定で試算すると、当初10年間だけで、なんと600万円以上も収入に差が出るのです。
具体的に検討されている計画がありましたら、ぜひ査定のご依頼をお願いします。比較して頂ければ、よくご理解いただけると思います。
その5 1戸から保証できる戸建賃貸専用の家賃保証
戸建賃貸は、とても需要の高い、リスクの低い土地活用方法です。供給数の少なさ、投資額の低さ、戸建住宅用地程度の小さな土地でもできる、相続など将来的な対応のしやすさ等々、様々なメリットがあります。
しかし、その反面、注意しておかなければならない点もいくつかあります。例えば、土地が小さく2戸(または1戸)の計画をフルローンで事業化される場合、1戸空室が発生すると家賃収入率は50%以下(1戸の場合は0%!)になりますので、単月では返済ができない状況も発生しえます。
また、木造の建物ですからRC造タイル貼りの賃貸マンションに比べ、建物のメンテナンス・修繕は短いサイクルで行う必要があります。
「戸建賃貸まもる君」では、1戸の戸建賃貸計画から最大80%の家賃を補償いたします。賃貸管理会社と連携し、満室経営を目指していきます。
詳細は、当機構の商品ページをご参照下さい。
その4 サブリースと相場家賃、家賃見直しの関係性
賃貸物件が稼げる家賃は、一般的に10年で約10%ずつ下がっていくと言われています。
建物の老朽化や、近隣で続々と供給される新築物件との競合などを理由として、新築時10万円で入居が付いた物件は、10年後には9万円、30年後には7万円に下げないと入居が付かない、ということを意味します。(※もちろん、大まかな傾向です。)
もちろん新築時の家賃設定は、相場帯の一番高いところでの値付けですから、その後建物が古くなり商品価値が落ちれば、取れる家賃が安くなるのは当たり前のことです。
そしてこれは、一般的なサブリース、家賃保証制度においても、実は同様なのです。
「30年間、安心のサブリース」というような広告を見ると、下図のように、あたかも30年間に渡り、新築当初の家賃を保証してくれる、と勘違いしがちです。
しかし、冒頭に述べたとおり、築年数と共に入居を付けられる適正家賃は下がっていきますので、一般的なサブリースでは、下図のように「あくまで下落する制約家賃」に追随して、借上げ家賃も下がります。
新築時に無理やり高い家賃設定をすると、数年後にはもう募集家賃を下げないといけない、下手をすると割高すぎて新築時からなかなか満室にならない、といった事例も多々見受けられます。これから土地活用をお考えの際には、「長期間に渡り入居者に選ばれる建物の付加価値・特徴」とそれに見合った家賃設定、そしてなるべく家賃を下げないで済むように、建物をいつまでもフレッシュな状態にしておくための「メンテナンス・賃貸管理方法」などをご検討頂くとよいでしょう。
その3 今後の賃貸経営は「戸建賃貸」がおススメ
遊休地をお持ちの地主様であれば、一度は土地活用(遊休地に賃貸物件などを建てて賃貸経営をし収益を得ること)をご検討された方も多いでしょう。これからの長期安定した賃貸経営には、ダントツで「戸建賃貸」がおススメです。
一般的な集合住宅(アパートや賃貸マンション)に比べて、戸建賃貸が良い最大の理由は、「需給バランスの良さ」です。潜在的に集合住宅より戸建に住みたいという需要があるにもかかわらず、供給数がかなり少ないため、建てれば工事完成前に予約で満室になるケースも多い状況です。
加えて、集合住宅に比べて投資額(建設費)が安く済むこと、将来的には1戸ずつ敷地分割すればご子息に相続させやすいことなど、様々なメリットがあります。
ぜひ、ご所有の土地の近くに戸建賃貸物件があるか、不動産ポータルサイトで募集状況を確認してみてください。おそらくその数はかなり少ないはずで、その希少性をご確認いただけると思います。
良いこと尽くしの戸建賃貸ですが、事業計画上、ご注意いただきたいのは「家賃設定」です。
供給数が少ないため、家賃相場というものが形成されていない地域が多いので、値付けは難しく地元不動産会社でも返答に窮することもあります。
当然アパートよりも割高な家賃設定にするわけですから、市場調査に基づいた、明確な根拠のある家賃設定ができれば万全です。
恐らく入居者は、公務員、大手企業の転勤族世帯等が中心になるので、それら企業の家賃補助はいくら出ているのかを確認するだけでも、家賃設定の上限はおのずと推測できるでしょう。
その2 サブリースの問題点とデメリット
別名「一括借上げ」とも言われるように、賃貸住宅一棟丸ごと全戸を、保証会社(サブリース会社)が毎月固定額で借り上げてくれる制度です。
サブリースを利用する最大のメリットは、「オーナーは何もしなくていいのでラクちん」ということに尽きます。入居募集や家賃の集金代行、建物管理など、賃貸経営に必要なことを全てやってくれますので、オーナー様は毎月通帳を眺めているだけです。よって、「とにかくラクをしたい!」というオーナー様にはおススメです。
逆にデメリットは、本来はオーナー様の収入となる、借上げ家賃以外の収入(礼金、更新料など)が保証会社の取り分になるため収益性が下がること、また大手グループ企業によるサブリースの場合は、管理会社の選定や長期修繕計画などに厳しい制約があり、条件を破るとサブリース契約は解約、という条件も多いことです。
以前、よくテレビや雑誌などで「30年一括借上げ! だから安心!」というように、あたかも新築から30年後まで同額の家賃を保証してくれそうなニュアンスの広告がありましたが、これは誤解です。
入居状況や建物の老朽化具合により、ほぼ必ず借上げ家賃の見直し(≒値下げ)があるということを前提に検討する必要があるでしょう。
よってサブリースを利用する場合は、事前に「オーナーの収入項目は何か?」、「どんな状況が発生したら家賃の見直しがあるのか?」など、具体的な保証条件を正しく把握しておくことがとても大切です。
その1 家賃保証とサブリース、空室補償の違いは?
「家賃保証」とは便利な言葉で、何となく「賃貸アパマンの家賃を保証してくれるのかな?」と思われることが多いですが、実際は、内容のことなる3つの意味合いで使われています。
家賃保証とは、総じて賃貸オーナー様の家賃収入を保証する制度ですが、その保証対象と内容が全く異なります。
大きく分けると、賃借人が契約者となり家賃滞納リスクを保証する「滞納保証」と、オーナー様が契約者となり一棟全体の家賃収入に対して一定の利率の家賃収入を保証する家賃保証の2つに分かれます。
オーナー様向けの家賃保証として、大手アパートメーカーや不動産会社が提供しているのが「サブリース(一括借上げ)」です。これは、保証会社がアパマンを一棟丸ごと借り上げて、賃貸管理も合わせて行う制度です。オーナーは何もしなくていいので賃貸経営がラクな分、借上げ家賃以外の収入(礼金・更新料など)が、全て保証会社の取り分になるため収益性が落ちるという一面があります。
それに対し「空室補償」では、賃貸管理は通常どおり地元の管理会社に管理委託し、補償会社には毎月補償料(掛け金)を支払うことで一定の家賃が補償される仕組みなので、補償会社は賃貸管理をしないため、賃料以外の収入(礼金・更新料など)はオーナー様の収入になり、収益性が上がります。
賃貸管理をどこに頼むか、どの程度の収益性が欲しいのか、ぜひオーナー様ご自身のスタイルに見合った家賃保証をお選びください。