賃貸経営業界の攻略法

賃貸経営業界の攻略法

オーナー向け

元不動産屋が教える失敗しない管理会社の選び方


1. 現在の賃貸管理会社を選んだ理由は何ですか?

まず始めに、賃貸アパート・マンションのオーナー様に質問です。現在のご契約されている賃貸管理会社をどのように選びましたか?

  1. 建物を建てた会社、又はその関連会
  2. 建物を建てた会社からの紹介
  3. 先代からの引き続きそのまま
  4. 自宅の近所だから、又は物件から近いから
  5. 知り合いだから

以上のどれかではありませんか?
しかし賃貸経営の観点から言えば全て間違いです。

「物件を建てたところが一番物件のことを理解しているので正しいはず」
「物件から近い方が賃貸客を見つけやすいはずだ」

などご意見はあると思います。そのご指摘は間違いではありませんが、問題は自分の考えではなく、「受け身で」管理会社を決定したことです。

賃貸経営の最高責任者はオーナー様ご自身

賃貸経営の最高責任者はオーナー様ご自身

賃貸経営の最高責任者はオーナー様です。自分の資産を守ることであり、それは自分以外に出来る人がいないからです。他人の資産を真剣に考えてくれる人などいません。不動産会社は自分の仕事の利益になるからオーナー様と関わりたいと思うのです。

いわゆる投資家の方であれば、当然のことでもアパートメーカー等に営業されて賃貸住宅経営を始めた方の中には、受け身で物事を決定している方が多いようです。

そこで、これから正しい賃貸管理会社の選び方を紹介していきます。少しでも、賃貸住宅経営の助けになれば幸いです。


2. 賃貸管理とは?

当機構からオーナー様(補償契約者)に何らかの連絡をする際に、物件のことについて尋ねると「全て管理会社に任せているから。」とオーナー様ならば知っていて当然のことでも全く分かっておらず、すべて他人任せの方がたびたびいらっしゃいます。

しかし、その管理会社は全てを任されているわけではありません。そのような賃貸管理契約はこの世に存在しません。「全て管理会社に任せている」と言われた方は、勝手にそう思い込んでいるだけなのです。

賃貸管理の主な仕事とは...?

賃貸管理の主な仕事とは...?

  1. 賃貸借管理業務(賃料の徴収、契約更新など)
  2. 物件の建物維持管理(清掃、設備の点検)
  3. 賃借人のクレーム対処(鍵が開かない、給湯器が壊れたなど)

勘のいい方は、「賃貸の斡旋や契約が無いじゃないか」と思われるでしょうが、国土交通省が作成した「管理委託契約書」のひな型にもその項目はありません。なぜなら、「賃貸の斡旋や契約」は仲介業務の仕事であって賃貸管理の仕事ではないからです。

不動産会社の主な仕事とは...?

不動産会社の主な仕事とは...?

賃貸関係に限れば、不動産の「賃貸借」、不動産の賃貸借の「仲介」、不動産の「賃貸管理」で、「仲介」と「管理」は別ものです。ちなみに、「仲介」は宅地建物取引業の免許を受けた業者しか出来ませんが、「管理」は、特に免許がなくても営業が可能です。

ただ、一般的に賃貸管理契約をする際に、契約書条文には賃借人の斡旋や賃貸借契約の仲介名も明記されていると思います。それでも、「必ず満室にします」「空室が出たらすぐに埋めます」等の文言は当然ながら入っていないはずです。賃貸管理は家賃収入を保証するものではありませんので当然です。しかしここが重要な部分なのです。


3. 不動産管理業者の本音

3. 不動産管理業者の本音

不動産業者から見れば、入居率が高いほうが管理収入は多くなり、空室を埋めたほうが仲介手数料が儲かるので、入居者が退去したら一生懸命埋めようと努力し、決まらなければ決まる方法を模索するのが本来の姿です。しかし残念なことに、このように企業努力している業者は一部に過ぎません。これは私見になりますが、恐らく上記のように懸命に入居率向上を図っている業者は全体の3割に満たないと思っています。

その理由は・・・

  1. 1戸当たりの管理料はごく僅かなので、少しくらい入らなくても差し支えない。
  2. 決めるのが難しい物件より、案内すれば簡単に決まる物件を紹介した方が楽に儲かる。
  3. 募集条件が高ければオーナー様に条件の交渉をし、新たな募集条件で営業すべきだが、1、2の理由により交渉したがらないどころか、交渉をしたらオーナー様に嫌われると思って余計なことはしない。

つまり、「物件の紹介はするが、決まらなければ募集条件を決めた家主のせいだから、自分たちが悪いわけではない」と考える業者が大勢を占めるのです。

このような業界の状況が良いとは思えませんが、残念ながらこれが実態の一部です。


4. 「老舗」がいいとは限らない

4. 「老舗」がいいとは限らない

不動産業者の看板や名刺、あるいはチラシなどで「○○県知事免許(10)×××号」、「国土交通大臣免許(5)×××号」のような記載を見かけたことはないでしょうか。これは宅建業免許番号と言って、宅地建物取引業の免許を受けた時に知事や大臣から振られる番号のことです。

基本的に宅建業免許は事務所のある都道府県知事から免許が交付されますが、複数の都道府県に事務所がある場合は国土交通大臣からの交付となります。いずれも、5年に一度(1996年以前は3年に一度)更新となりカッコ内の数字が更新回数を表します。つまり(3)であれば10年以上営業していることになります。

ならば、この数字が大きければ良いのか?と考えがちですがそうとは限りません。他業種ならばいわゆる「老舗」の方が長年の実績や信頼があるから、今まで続けられてきたということになるのでしょうが、こと不動産業に限っては単純に「老舗」の方が良いことになりません。むしろ「老舗」で無い方が却ってよいという場合もあります。

「大家さん」を獲得してきた数は、「老舗」の方が多いでしょう。長年営業していれば、付き合いも増え管理物件も増えていくからです。しかし、賃貸物件に入居者を付けるという意味では長年の実績はあまり関係ありません。 なぜなら、賃貸のお客さんの大半はリピーターではなく、一見さんであるためです。では参考までに、入居者が不動産会社を選ぶときに重視したポイントを見てみましょう。

入居者が不動産業者を選んだポイント

  1. インターネットの不動産検索サイトに多くの写真を掲載しているか?
  2. 物件数を沢山載せているか?
  3. 地元で知名度のある会社である
  4. 店舗がアクセスしやすい場所にあるか?
  5. その物件の欠点も書かれている
  6. 写真の見栄えが良い
  7. 全国展開している会社である

(出典:sumoジャーナル 「賃貸、購入で契約した人が不動産会社を選ぶときに重視したポイントは?」)

この結果から分かることは、「不動産会社のこと < 物件の情報」ということです。3番目に「知名度」が入っていますから軽視されているわけではありませんが、やはりインターネット上の物件情報が重視されていることが分かります。

そして残念ながら、「老舗」に限ってインターネットへの物件掲載にあまり力を入れていないのが現実です。今時、全くインターネットを活用していない業者はほとんどありません。ただ、検索サイトを見ると物件情報の画像が「間取りのみ」や、「間取り+外観写真」しか掲載していない業者は、先ほどの免許更新回数が(10)以上である場合が多いのです。

4. 「老舗」がいいとは限らない

「老舗」不動産業者は、多くの大家さんの信頼を勝ち得てきました。昔は住宅が少なく、賃貸住宅を建てれば、余程のことがない限り入居者の募集には困らなかったからです。しかし、現在は少子高齢化で地方の世帯数も減少に転じる反面、新築の賃貸住宅は現在でも増え続けているため空室率が18.8%(出典:総務省統計局 住宅・土地統計調査)にも上ります。

募集の仕方も管理物件に「入居者募集中」などの看板を付け、FAXで他の業者に物件情報を送っていれば良かった時代と違い、現在では不動産検索サイトへの掲載はもちろんのこと、反響メールの返信の仕方やSNSへの掲載方法など、多岐にわたり考えることがあるのです。このような時代に昔ながらのやり方では、通用するわけがありません。

もちろん、老舗の業者にも時代に即したやり方で管理物件の入居率向上を意識し、いかに集客するかを命題においている会社もあります。ただそういった会社は、おそらく1店舗だけではなく複数の店舗で営業展開している場合が多いです。中には県外にも店舗を広げて「国土交通大臣免許」を取得している会社もあります。営業利益を追求した結果、業務拡大に成功したからです。従って「老舗」の場合は、どれだけ店舗展開しているかが一つの目安になるわけです。そして、そうでない場合は、不動産検索サイトへの物件情報にどれだけ多くの写真が使われているか、コメント欄は反響となりそうな文面となっているかがポイントとなります。


5. 管理会社を変更する

5. 管理会社を変更する

当機構へ時々、「管理会社を変えようと思っているんだけど」という補償契約者様からのお問い合わせがあります。理由をお聞きすると・・・

  • 空室が続いているのに、改善策について要領を得た答えが無い
  • 家賃を下げてください以外の提案が無い
  • 募集中の室内を見てみると原状回復工事がいい加減できれいになっているとは言い難い

など不満がたくさん出てきます。ある方は、A3用紙に管理会社に対する不満をびっしりと書き連ねてFAXで送ってこられました。そういった場合はこうお答えしています。「でしたら、管理会社を変えましょう!」

オーナー様ご自身がそう思われるならば、それが一番ですし、こういった場合にオーナー様が何か勘違いをしているケースはほとんどありません。大抵の場合、管理会社はその地域に一つではないので、管理会社の変更をお手伝いすることになります。

管理会社を変える場合は、「駅前にある」「街の中心部にある」等、場所で区切ってから、その会社のホームページを見てみましょう。いかにもお金が掛けられていない、物件情報がほとんど掲載されていないサイトで無い限りは、直接連絡を取り、店舗へ足を運んでみましょう。そしてご自身の物件チラシを持って以下のことを聞いてみるのです。

  1. この物件が決まらない理由は何か?
  2. この物件を決めようと思ったら、貴社ならどうするか?
  3. お宅の会社に管理を任せたら、どういう管理をしてくれるのか?
  4. 管理料の料金体系
  5. 現在の管理物件数、空室率

先方の回答内容はもちろんのこと、明確に論理的に答えられたかどうかが重要です。オーナー様ご自身がビジネスマンであったなら、その経験はそのまま活かせます。満足いったか、否かで判断されればよいのです。

しかし、いざ変更しようとすると「手続きなどが面倒ではないか」など躊躇される方もいらっしゃいます。でも面倒があるのは変える先の管理会社の担当者であって、オーナー様ご自身ではありません。

管理会社変更の手順

  1. 現在の管理会社との管理委託契約書で、解約する場合の告知のタイミングを調べた上で、解約の連絡をする。※大抵の場合、解約する場合は〇カ月前に告知が必要と明記してある
  2. 新たな管理会社の選定、決定、管理委託契約
  3. 新しい管理会社から言われた書類の用意(印鑑証明書など)、必要書類に署名捺印
  4. 新たな管理契約がスタート

管理会社を変えるのは一大事と思われるでしょうが、オーナー様の代替わりが進んでいる現在では日常的に行われていることで、管理会社の担当者も手馴れているはずです。

因みに当機構が管理会社変更をお手伝いしたケースでは、ほぼ全てが以前よりも入居率が向上しています。


6. 有名な管理会社の方が良いのか?

6. 有名な管理会社の方が良いのか?

賃貸業者で有名な企業は、コーポレートカラーで現わされます。具体的な会社名は控えますが、緑、青、赤、黄緑、などです。全国に店舗があり、テレビCMなども放送していますからご存知の方も多いと思います。そして、こういった会社は直営店舗はもちろんのこと、フランチャイズ形式により全国展開をしています。

いわゆる「看板」を貸しているため、フランチャイズ店の社員であっても、本部の監視下に置かれ接客技術などを学んでいることもあり、有名企業の看板を掲げた仲介・管理の会社はある程度のレベルにあると言っていいでしょう。管理会社変更の判断をする際に一つの判断材料になります。

だからと言って、有名企業の看板があれば、必ず良い会社なのかというと勿論そうではありません。以前にも書きましたが、一生懸命企業努力している会社はごく一部に過ぎないのです。看板のある会社は、その可能性が高いですが全てではありません。

実際に管理会社を変更したオーナー様のケース

6. 有名な管理会社の方が良いのか?

以前、当機構の補償物件の一つに、どうしても入居率が半分程度にしかならない中部地方のマンションがありました。管理会社は全国チェーンの会社でしたが、担当者に何を質問しても的を得た答えが返ってこず、たまりかねてオーナー様に管理変更を提案しました。

大分迷われていましたが、オーナー様も管理会社に不満があったため、結局管理変更を受け入れてくださり、会社を変えたところ、全9戸のうち5戸空室となっていた物件が3ヶ月で満室となりました。

このケースでは、変更先の候補となる会社を当機構がリストアップし、そのうち3社の話をオーナー様が聞かれて、その内の1社に決定されました。決め手は、やはり「担当者の話が非常に分かりやすかった」からだそうです。抽象的な話や「がんばります!」だけでは人は納得しません。やはり具体的に「なぜ決まらないのか」、「どうすれば決まるのか」を聞かされる方が説得力があります。

その物件は駐車場が2台必要な地域であるにも関わらず1台分しか用意されていないため家賃の値下げの話もありましたが、それだけではなく礼金・敷金・契約当初の家賃無料期間など様々な提案の結果、管理獲得を勝ち取ったわけです。

その会社は県内では複数店舗を展開していますが、全国チェーンの会社ではありません。しかし、地道な努力の結果、有名企業と互角に渡り合える会社となったのです。


7. オークションをやってみる

7. オークションをやってみる

所有物件の周辺には多くの不動産業者があり、どの業者が良いのか分からないという方もいらっしゃると思います。確かに不動産業者は数が多く、免許を受けた宅建業者は全国5万件程います。八百屋より数が多いと言われるのが不動産屋なのです。

昔、不動産管理の仕事をしていた際に、東京・渋谷の不動産仲介業者へ空室物件の紹介をしに行ったところ、用意していた100枚のチラシが立ちどころに無くなってしまい会社に戻り追加のコピーをした記憶があります。中には10階建てのペンシルビルの約半数に不動産業者が入居しているビルもありました。

これほど数多くの不動産業者の中から一社を選ぶのは大変なことです。ならば空室物件を対象にオークションをやってみてはいかがでしょうか?金額を吊り上げるためにやるのではありません。どこの業者が一番空室を埋めてくれるのかを競わせるのです。

関東地方のある補償物件がやはり空室が多く、全戸数の半数以上が空室にもかかわらず1年以上新規の入居が無かったため、管理会社を変えることになりました。

しかし、当時はまだ管理変更コンサルティングの経験は浅く、また物件の市内にある不動産会社が50社近くあったため、変更候補となる業者を上げるだけでも大変でした。そこで思いついたのがオークション形式です。

市内の出来るだけ多くの不動産業者に出向き、物件を紹介する際に「一番多くの空室を埋めてくれた業者に管理を委託します。」と触れ廻りました。不動産会社としては日々の仲介手数料が一番の儲けどころですが、賃貸管理料は安定して稼げるストックビジネス収入ですので、彼らからすれば「おいしい」ものなのです。

客付けオークションの結果

その結果、12戸中7戸が空室だったものが約1ヶ月程度で立ちどころに満室となりました。また賃貸管理は、7戸の内3戸を決めてくれた業者へ変更することに決定したのです。さらに、その後は空室が出てもほとんど1か月以内に決まる人気物件となったのです。

もちろん賃貸管理とは、空室を埋めるだけではありません。ですから、このケースでも業者からオーナー様に管理の内容や料金体系なども詳しく説明してもらい、その上で管理委託契約に至りました。ただ、一生懸命に営業して管理を獲得するという熱意は非常に重要であり、それがオーナー様のためにもなると思います。

記事の先頭に戻る
Page Top